年齢を重ねることにより、私たちの身体も心も衰え、見た目も行動も活力を失っていきます。
このことは人間にとって正常なことですが、生涯終えるまで、なるべく活力に溢れて過ごしたいと思うのも人情というものです。もちろん今年64歳になった私もそう思います。
素肌は年齢を重ねたり、慢性疾患になったりすると衰えが目立つようになりますが、これは主に「血」(けつ:血液)と「津液」(しんえき:血液以外の体液)が減少し、皮膚に対する栄養作用や滋潤作用が低下するためです。
「血」や「津液」は主に栄養成分や水分の摂取による影響が大きいのですが、実は生まれるときに両親から戴いてきた「生命の元」である「腎精*」の働きにも支えられています(図を参照してください)。この「腎精」は老化によって機能が低下するため、十分な栄養や水分を摂取していても「血」や「津液」は次第に不足するようになってしまうのです。
※中医学では「腎精」を腎臓に蓄えられた物質の一種として捉えますが、実際には「遺伝情報」の一部であると考えられます。
老化によるものなら諦める他はないのでしょうか?いえ、そんなことはありません。
「補腎薬」を用いることにより「腎精」を強化することが出来るのです。
日本においても「補腎薬」として有名な漢方薬もございます。「八味地黄丸」(八味丸、八味腎気丸等も同じ内容)と「六味地黄丸」(六味丸等も同じ内容)ですね。しかしながらこれらの「補腎」効果はそれほど高くはありません。
実は中医学には動物生薬を組み入れることで補腎効果を飛躍的に高めた強化版ともいえる処方があります。
ひとつは八味地黄丸の強化版の「右帰丸」(うきがん)であり、動物生薬の「鹿茸」(ろくじょう:鹿の幼角)が配合されています。もうひとつは六味地黄丸の強化版の「左帰丸」(さきがん)には動物生薬の「鹿角膠」(ろっかくきょう:鹿の成熟した角から抽出したコラーゲン)と「亀板膠」(きばんきょう=クサガメの甲羅から抽出したコラーゲン)が配合されています。この「右帰丸」や「左帰丸」の製品は日本には存在しないのですが、先の「八味地黄丸」や「六味地黄丸」に動物生薬を加えるだけでもかなり近い効果を引き出すことが可能です。
漢方薬の正しい利用のためには全身のバランスを考えることが必要です。先の「右帰丸」や「左帰丸」は例であり、これらの処方にこだわることはおすすめしません。詳しくはご予約の上ご来店いただきご相談ください。
令和7年8月4日作成
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