認知症と漢方薬・中医薬


2018/09/24 NHKにて、認知症の漢方薬として「人参養栄湯」が紹介されていましたが、たいへん誤解を招く内容であったため、急遽、正しい認知症の治療について。簡単にではございますがまとめてみました。今回はご高齢者で身体の動きが少ないタイプのものだけを扱うものとします。いずれのタイプも早期に治療を行うことが望ましいと言えますが、中医学でいうところの「腎虚」によるものは特に重症となりやすく改善が難しいため、特に早めの治療が必要です。


《中医学的に見た認知症の原因と対策》

★漢方薬・中医薬の使い方はたいへん難しいので、必ず弊店のような専門店でご相談の上ご利用ください。

 

湿痰阻竅[体内に余分な水分が貯留しているタイプ]

【症状】言葉が少ない。頭が重く締め付けられるようである。疲労倦怠感。腹満。痰やよだれが多い。

【代表処方】温胆湯(うんたんとう)・平陳湯(へいちんとう)など

 

②気鬱血虚[気の滞りと血液不足があるタイプ]

【症状】思い悩む。ぼんやり。胸苦しい。イライラ。溜め息が多い。悲しむ・泣く。

 【代表処方】逍遥散合甘麦大棗湯(しょうようさんごうかんばくたいそうとう)など。

 

③気血両虚[気血の不足がある虚弱なタイプ]

【症状】思い悩む。ぼんやり。食欲が少ない。非常に疲れやすく、疲れが抜けにくい。不眠。健忘。動悸。

【代表処方】心脾顆粒(しんぴかりゅう)・人参養栄湯(にんじんようえいとう)など。

 

➃腎虚[腎の機能低下](老化との関係が特に深く、早期に治療しないと回復が難しいタイプ)

[症状]目に生気がない。頭が空っぽに感じる。足腰に力がない。腰痛。痩せる。皮膚が薄くシワになる。

[代表処方]《陽虚:冷えタイプ》右帰飲(うきいん)など。/《陰虚:ほてりタイプ》左帰飲(さきいん)など。